この記事は、以下のような人にオススメです。
こんにちは!Webディレクターのオスカーです。
昨日(2023/05/19)のことですが、とあるSNSでGoogleのJohn Muellerが「SSL証明書がウェブサイトのSEOを高める効果がある」ことを否定しました。
この発言はすぐにSEO界のニュースになってしまいました。
なんといっても今までのSEOの常識に反する発言のように感じますね。
一体、この発言はどういう意味なのか、一緒に見てみましょう。
最後までご覧になっていただけますと幸いです。
本題に入る前に、まずは昨日何があったのかを共有したいと思います。
Mastodon上、@EncryptedFenceがSNSに以下の投稿がありました。
外部リンク
「SSLは必須だ。あなたのサイトのSEOと評価を向上するために…」といった内容でした。
これに対し、John Muellerはぱっさり切りました。
「これはウェブサイトのSEO向上にならないよ」とのことでした。
よく見たら、投稿の中に、9456文字のブログも記載してあって、こんなあっさり言われると、作者は相当複雑な気持ちになるだろうな…
ここでSSLについて、少しなおさらいしましょう。
SSLとは、Secure Sockets Layerの略で、安全なインターネット接続のための暗号化通信規格(プロトコルとも呼ばれる)です。
SSL証明書は、ウェブサイトの身元を証明する(認証する)デジタル証明書で、ブラウザが正しいサーバーに接続していることを証明するものです。
SSL証明書は、インターネット上でデータを安全に転送するために重要な役割を果たします。
そして、HTTPSはGoogleの推奨項目でもあります。
Googleは、インターネットが安全にデータを提供できるようにするための重要な後押しをしました。
理由はさまざまですが、主にユーザーのセキュリティとプライバシーのためです。
ただし、HTTPSを採用はうまくいかなかった。
原因は、SSL証明書を取得するためのプロセスが専門的でわかりにくくて、お金・取引に関与しないウェブサイトは避けてきました。
そんな中、2014年8月Googleの正式発表で、HTTPSをランキング要因として、安全な規格の採用を奨励するということで、
ランキング シグナルとしての HTTPS
それでようやく普及が始まったのです。
Googleは、HTTPSをより強力なランキング要因にする可能性があると話し、SEO担当者達をさらに後押ししました。
Googleの発表内容ではこのように書いてあります。
Google はさらに、数か月前の Google I/O において、ウェブで「HTTPS everywhere」を提唱しました。
HTTPS(HTTP over TLS(Transport Layer Security)ともいう)をウェブサイトに導入するウェブマスターが増えていますが、これはとても心強いことです。
こうした理由から、Google は過去数か月にわたり、暗号化された安全な接続をサイトで使用していることを検索のランキング アルゴリズムのシグナルとして考慮するテストを実施してきました。このテストで十分な結果が得られたため、Google はランキング シグナルとして HTTPS を使用することにしました。現在のところは、ウェブマスターが HTTPS に切り替えるための移行期間として、このシグナルのウェイトを非常に小さく設定しています(グローバル クエリの 1% 未満にしか影響せず、高品質のコンテンツなど他のシグナルよりウェイトが小さい)。しかし、誰もがウェブを安全に利用できるよう、すべてのウェブサイトの所有者に HTTP から HTTPS への切り替えをおすすめしたいと考えているため、今後このウェイトは大きくする予定です。
Googleは、HTTPSシグナル「のウェイトは大きくする」の可能性があることが記載されています。
このことをきっかけに、SEO担当者達は積極にHTTPSの実装を進め、爆発的に広がりました。
SSL証明書はどんどん発行されるようになりました。
では、本題に戻りましょう。
前項のように、HTTPSがランキングシグナル(要因)なら、John MuellerはなんてSSL証明書がSEO向上することはできないと断言したのでしょうか?
ランキング要因について考えましょう。
ランキング要因とは、Googleが検索クエリに対して、ウェブサイトが上位に表示されるかどうかの判断基準になります。
ということは、ランキング要因ならSEO対策になる、ということになりますよね?
3秒考えましょう
。。。
。。。
。。。
。。。
答えはNoです。
発表内容にもあったように、HTTPSのシグナル「のウェイトを非常に小さく設定しています」。
同じランキング要因でも大きい小さいのがあります。
HTTPSのようなランキング要因は、ウェイトが極めて小さいです。
それとは逆で、被リンクがとても重要なランキング要因であることは、誰もが認めるところです。
なので、これはつまり、HTTPSはランキング要因でも、ランキングを左右するほどのウェイトがないということでしょう。
「HTTPSのウェイトが小さく設定されている」ことにもう1つ考えられる原因として、
今ほとんどのサイトがHTTPSを使用しているということです。
みんなやっていることだし、当たり前すぎていることをウェイトを大きくするまでもない、かもしれません。
John Muellerは、「HTTPSはランキングシグナルとして、比較的に弱い」ということを強調したかったかもしれません。
実は2019年に、こういうこともありました。
Any claims that support this argument by @Uniregistry - "Without an SSL Certificate Google is likely to drop your website in search results" cc @JohnMu @rustybrick pic.twitter.com/7Bb6WFOthd
— Krinal Mehta 🇮🇳🇨🇦 (@krinal) January 29, 2019
「SSL証明書がないとGoogleの検索結果でサイトを落とされる」という投稿に対し、
John Muellerは、
ええ、それは間違いです。
HTTPSは、ページをインデックスさせるかどうかを決める要因には全くなっていません。
HTTPSを軽量なランキング要因として使うことはありますし、HTTPSがあることはユーザーにとって素晴らしいことです。
無料証明書も同様に機能します。
この時も、HTTPSはランキング要因でありながら、「軽量的」であることを話していました。
この2019年の出来事で、もう1つことが明らかになっていました。
「無料証明書も同様に機能します」ということです。
同じような内容で、John Muellerは何度も説明しました。
例えば、2021年4月2日のやり取りですが、
I'm sorry suddenly John,
— KASAI Yosuke/cocorograph (@yosuke58enji) April 2, 2021
But I have a question, about「 SSL authentication」.
does paid and free SSL authentication make a difference in search results?
※of course excludes sites such as financial institutions
「有料と無料のSSL認証で検索結果に違いをもたらしますか?」という質問に対し、
価格によって TLS/SSL の安全性が高まるわけではありません。
無料の証明書は、金融機関であってもまったく問題ありません。
との回答がありました。
HTTPSがちゃんと機能すれば、有料無料はSEOにおいては見ていないということになります。
ちなみに、「オスカーの学習帳」もフリーSSLを使っていて、狙ったランキングはちゃんと上位に反映されます。(天の声:自慢かよ!)
ランキング要因としての HTTPS について、SEO担当者達の間でもたくさん議論がありました。
HTTPSが重要で、他のウェブサイトよりも上位になるためにはSSLが必須だという人もいました。
よくよく考えたら、ほとんどのウェブサイトがHTTPSをつけている今日、他のサイトを打ち勝つできるような武器として考えるのは難しいではないでしょうか?
HTTPSはセキュリティやプライバシーにおいては重要で、それはお客様との信頼関係を築くのに必須であって、
SEO対策においては間接的な要素であっても、順位を影響するものではないと、オスカーは思いました。
今日も見ていただきありがとうございました。
お役に立てれば幸いです。
それでは。