この記事は、以下のような人にオススメです。
- GA4のしきい値に悩んでいるWebディレクター
- BigQueryの導入を検討しているマーケター
- より詳細なデータ分析を行いたい方

クライアントからこういうリクエストがありました。
「GA4でしきい値が出て困っています。BigQueryにデータをエクスポートして分析したい」
これを聞いて、「うん…」ってなりました。
「BigQueryを導入すれば、しきい値問題を完全に解決できる」と聞いたことがある方も多いと思いますが、それは本当なのでしょうか?今回は、しきい値が発生する原因とBigQueryデータエクスポート機能の特性を踏まえて、解説します。
ぜひ、最後までご覧ください!
しきい値が発生する原因
GA4では、特定のレポートを開いた際に「しきい値が適用されました」と表示されることがあります。

この「しきい値」は、Googleがユーザーのプライバシーを保護するために、特定条件の下に、データを非表示にする仕組みです。
では、具体的にどんな条件でしきい値が発生するのでしょうか?
それは「Googleシグナル」から取得したデータです。
具体的には以下の3つ:
- 年齢(層)
- 性別
- インタレストカテゴリ
これです。これだけです。
「これだけ?」と思われている方がいるかもしれません。
というのも、しきい値についてたくさん噂があります。
「ユーザー数が少ないとしきい値が発動する」とか、
「特定のカスタムディメンションや指標を使うとしきい値が発動する」とか、いう話もあります。
ただの噂です。
「ユーザー数が少ない」場合でも、「特定のカスタムディメンションや指標」を使っていても、上記3種類のデータが含まれていないレポートはしきい値は発動しません。
何を根拠に?実際GA4でやってみて、しきい値が発動するかを確認すればわかることです。
噂も生成AIも参考するといいが、100%信じてはいけません。
しきい値を解決する方法
しきい値を解決する方法はまた簡単です。以下3種類のデータをレポートに使わなければOKです。
- 年齢(層)
- 性別
- インタレストカテゴリ
そもそも、この3種類のデータはあくまでGoogleシグナルが閲覧履歴などのデータを元に推測したデータであって、100%の正確性を持っていない参考データです。
BigQueryならしきい値の影響を受けない?
はい、BigQueryはしきい値の影響を受けません。
以下を確認してください。
BigQueryで取得できるデータ
- セッションデータ(訪問回数、ページビュー、イベント数)
- トラフィックソース(参照元、メディア、キャンペーン)
- ユーザーの行動データ(スクロール、クリック、購入)
- デバイス情報(OS、ブラウザ、デバイスカテゴリ)
- 地理情報(国、都道府県、市区町村)
- 疑似ユーザーID
お気づきでしょうか?そういうことです。
そもそも「年齢」・「性別」・「インタレストカテゴリ」はエクスポート対象になりません。
Googleシグナルで取得したデータは出力できません。
なので、BigQueryはしきい値の影響を受けません。
BigQueryだけでは解決できないこと
クライアントさんの目的をしっかり把握してください。
「年齢」・「性別」・「インタレストカテゴリ」で分析したい場合、BigQueryにエクスポートしてもしきい値問題は解決できません。
「年齢」や「性別」の実データを持っていて、GA4にいれてまで分析したい場合、カスタムディメンション機能を使ってください。この場合、BigQueryを使わなくても、「年齢」・「性別」で分析できます。
ただし、「年齢」・「性別」は個人関連情報に分類されるので、取り扱いは十分の配慮してください。プライバシーポリシーにも明記することをお勧めします。
BigQueryはどんな時に使うとよいか?
「疑似ユーザーID」連携
GA4の中、「探索」→「ユーザー エクスプローラー」という機能があります。
ユーザーのサイトの動きを把握できる優れたレポートです。
ただ、目標のユーザーを洗い出すのに、GA4のUIではなかなか使いにくいです。
LookerStudioに連携して整理したいですが、イベントを束ねるために、GA4の「疑似ユーザーID」を出力する必要がありますが、「疑似ユーザーID」は、GA4とLookerStudioで直接連携では使用できません。
BigQueryでは、「疑似ユーザーID」も出力対象なので、この場合、BigQueryを使うといいです。
複数DBの統合
GA4だけでなく、複数のシステムから出力されるデータを統合したい場合、BigQueryは効果的です。
多くの企業では、GA4のデータだけでなく、ECシステム、CRM、広告データ、POSシステムなど、異なるデータソースを統合して分析する必要があります。
BigQueryを使えば、異なるデータベースやツールからデータをインポートし、一元管理できるため、より高度なデータ分析が可能になります。
データソース | 取得データ |
---|---|
GA4 | ユーザー行動(イベント)・流入経路・コンバージョン |
ECシステム | 購買データ・カート離脱データ |
CRM | 顧客情報・リード獲得データ |
広告データ | 広告のパフォーマンス・流入後の行動データ |
POS(店舗の販売データ) | オンライン・オフラインの売上データ |
複数のデータベースを一つにまとめ、ビジネス全体の状況を俯瞰して分析する際、BigQueryはお勧めできます。
おわりに
今回では、BigQueryで本当にGA4のしきい値問題を解決できるかについて解説しました。
- しきい値は「年齢」「性別」「インタレストカテゴリ」の3つのデータに適用される
- しきい値を回避するには、レポートでこれらのデータを使わないこと
- BigQueryではGoogleシグナルのデータがエクスポートされないため、しきい値の影響を受けない
ただし、年齢・性別を使った分析をしたい場合は、BigQueryを使っても状況は変わらない - BigQueryは「疑似ユーザーID」を活用した詳細なユーザー行動分析や、EC・CRM・広告データを統合する高度な分析に最適
BigQueryを導入する場合、まずはどんな分析をしたいかを明確にすることが重要です。
単純に「しきい値を回避したいからBigQueryを使う」のではなく、BigQueryが適しているケースと適していないケースを見極めることで、より効率的なデータ活用が可能になります。
少しでも参考になれば幸いです。
今日も見ていただきありがとうございました。
それでは。
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